基本となるだし汁・フォン

INDEX: フランス料理のソース
  基本となるだし汁・フォン
魚のだし汁(白いだし汁)
フュメ・ド・ポワソン(fumet de poisson)。ひとつは白身魚のアラと香味野菜(ニンジン、タマネギ、セロリ、ポワローなど)を水から煮出した比較的汎用性の広いもので場合によって白ワインも加えます。もう一つの方法として白身魚のアラと香味野菜を炒めてから水または白ワインと水を加えて煮出したコクのあるものとがあります。

鶏のだし汁(白と褐色の二通り)
フォン・ド・ヴォライユ(fond de volaille)。鶏ガラと香味野菜を水から煮出した白色系のものと、鶏ガラを色よく焼いて、同じくキツネ色に炒めた香味野とともに水から煮出した褐色系のものとがあります。一般には炒めないで煮出すことが多いです。ブイヨンあるいはフォン・ブランと呼ばれ、非常に汎用性のある使いやすいものなので、料理人によってはオールマイティーのフォンとして、牛や仔牛の骨、スジ肉なども混ぜて取っているのが近年よく見られます。

牛のだし汁(白いだし汁)
フォン・ブラン・ド・ブッフ(fond blanc de boeuf)。牛の骨と香味野菜を水から煮出したもので、仔牛の骨を使う場合もあります。これも単にブイヨンあるいはフォン・ブランと呼ばれます。

仔牛のだし汁(褐色のだし汁)
フォン・ド・ヴォー(fond de veau)。仔牛の骨を色よく焼き、同じくキツネ色に炒めた香味野菜とともに水から煮出したもので、トマトを加える場合もあります。これは他のフォンに比べて旨みの強いだし汁であり、昨今のフランス料理の旨みの主流ともなっています。

野禽獣のフォン(褐色のだし汁)
フォン・ド・ジビエ(fond de gibier)。野禽獣の骨を焼いて香味野菜とともに煮出したものです。それぞれの素材に合わせてフォン・ド・シュヴルイユ(鹿のフォン)、フォン・ド・カナール(鴨のフォン)、フォン・ド・フェザン(雉のフォン)などがあります。

肉汁(ジュ)
近年の料理に盛んに使われるだし汁の一種で、これまでに解説したものはすべて多量の水分を加え、ある程度の時間をかけて煮出していますが、このジュは素材が隠れる程度の少量の水分を加え、短時間で煮出しています。前者は骨などの旨み成分とともに野菜やアルコール類の旨みも加わるという複合的な旨みがあり、後者は素材だけのピュアな味が香りを失わずに抽出できます。特に小型の野鳥類の料理には使い勝手のよいものであり、ジュ・ド・カイユ(ウズラ)、ジュ・ド・カナール(鴨)、ジュ・ド・ピジョン(ハト)などがあります。また、仔牛の骨で作るフォン・ド・ヴォーを、近年では煮出し時間を短縮し、香りを生かした軽い仕上がりにしたものをジュ・ド・ヴォーと表現していることもあります。

野菜のだし汁(白いだし汁)
ブイヨン・ド・レギューム(bouillon de legumes)。香味野菜、シャンピニョンなど、野菜だけを煮出して取ったフォン(ブイヨン)で、エッサンス・ド・シャンピニョン(シャンピニョンを多量に加えたもの)なども同じ系統と言えます。ヌーヴェルキュイジーヌ以降、盛んに使われているものです。

甲殻類のだし汁(白いだし汁)
フォン・ド・クリュスタッセ(fond de crustace)。オマール海老、伊勢エビ、ラングスティーヌなどの甲殻類の殻と香味野菜を炒めて水から煮出したもので、フォン・ド・オマール、フォン・ド・ラングースト(伊勢エビ)フォン・ド・ラングスティーヌなどと個別に呼ぶ場合もあります。

クール・ブイヨン(court-bouillon)
香味野菜、白ワイン(あるいはレモン、ワインヴィネガー)、水を合わせて煮出した香りのよいゆで汁で、甲殻類や魚を下処理するために使われますが、最近では下処理をしながらそのまま煮詰め、ソースやスープとして仕上げることが多いです。
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